heartbreak secret room 森村医師の2月14日は・・・?



『どうする?日詠さんがさ~“ここじゃ、日詠センセって呼ぶな・・・ナオって呼べよ!”って壁まで追い込んで、ネクタイで、手首締めてたら・・・・』

「・・・・・・日詠先生のイメージまで崩すの・・やめて下さい。患者さん待ってますから、ここらで戻りますよ。」

『まだまだあるぜ、日詠サンのダーク伝説!』

「もう結構ですから、ほら行きますよ。」


松浦クンに自分が着ている白衣を引っ張られながらリハビリの訓練室に戻った俺。
その時、前下方からかわいい声を聴いた。


「ま~くんせんせい~。コレ、あげる~。まりんからだよ~」


まりん・・・か・・・



まりん、6さい。
多指症という先天性(生まれつき)の疾患で以前、オレが手術した女の子。

ちなみに多指症とは生まれつき手や足の指が通常とされる5本よりも多い状態のこと。
まりんの場合、母指(親指)が1本多く、機能再建という複雑な治療が必要と判断され、地元の病院ではその手術ができないと言われたそうだ。

それに加えて、彼女の両親は女の子の体にメスを入れることに抵抗感を感じ、手術を受けるかをずっと迷っていたらしい。


そんな中、まりんが幼稚園生活を送る中で、手指が使いにくいだけでなく他の子供から指が多いことをいろいろ言われたりする状況があり、まりん本人が頻繁に泣いて帰って来たとのこと。

そういう状況が続いたことで、彼女の両親が手術を受けることを決断し、住んでいる地元の病院からオレのことを紹介され、自宅から車で3時間かかるここまでやって来た。

そのような経緯を経て、まりんの手術は無事成功し、現在、松浦クンの指導下で手のリハビリを受けに来ている。


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