heartbreak secret room 森村医師の2月14日は・・・?
『なんでしょ?日詠サン。』
「美味かっただろ?メロンパン。」
『な・・・なんのことでしょう・・か?日詠ぶちょお。』
長年この椅子を使っているせいかギシギシと錆びたような音がするけれど、それにいちいち構うことなく後ろを振り返った。
相手は既にこっちを見ていて、その鋭い視線がかなり刺さって痛い。
『伶菜が“ダイスキ”の文字4個で終わるはずがないからな。』
「はい~?」
『メロンパン、あと8個あるはずだ。』
なんだ、コイツ
この箱のサイズ、考えてみろよ
『このサイズの箱にあと余分に8個とか入らないんじゃね?』
「ダイスキがあと2セット入ってるはずだ。伶菜はダイスキ3回がお決まりだからな・・・・」
小さめのメロンパンとはいえ
全部で12個もメロンパン入るわけないだろ?
箱のサイズとかを冷静に考えられないこの人が
母体の中にいる双子の胎児達の命を救うための難易度の高い手術を確実にこなすとか
オレには信じられん・・・
っていうかどっちかって言うと
レイナが絡むとこの人はどうしてこんなにも危なっかしいんだか・・・・
『ハートの右上に3って書いたの、1個だけだろ?』
「・・・・お前、今、なんて言った?」
カチコチに凍りそうなぐらいの冷たい視線。
しかも、ヤバイ・・・・
オレまで油断してあまりにも具体的にツッコミを入れてしまった
『・・・いや~、このサイズの箱にあと余分に8個とか入らないんじゃって。』
「・・・その後・・だ。」
うわ~
ちゃんと聴いていやがった
言い逃げしようと思ったのに・・・
『・・・ハートの・・・・右上の・・・・3?』
「・・・・・・・・・・・」
冷たさ満載の瞳が少し緩んだ代わりに眉をしかめ黙り込んだ日詠サン。
はっきり言ってこの間が怖い
この人との付き合いが長くなってきた今日この頃、
それはようやく理解したこと
「ハートの3乗・・・ということなのか?」
『・・・あの書き方なら・・・そうだと思いますよ・・・日詠ぶちょお。』
「ダイスキハートの3乗なら・・・・ダイスキ、ダイスキ、ダイスキということだから・・・いいのか・・・・・」
『だ、、大丈夫だと思います・・・・』
「・・・・・・・・・・」
よかった
腑に落ちないと言われなかった
でも、何も言わないのは
なんでだろう・・・・?