heartbreak secret room 森村医師の2月14日は・・・?
その後、他の患者の縫合創の消毒処置やら手術直後のキズの状態の観察をしたりと病棟での診療を終えて向かったのは、
「森村先生、ご苦労さまです。」
『おう、松浦クンも週明け月曜日からお疲れさま~。』
いつ来ても椅子の取り合いが始まりそうなくらい混んでいるリハビリテーションセンター。
『それにしても、今日も満員御礼だよな?』
「おかげさまで・・というか、3週間前の大雪の影響でウチは今頃から繁盛しています。」
『そ~いえば、3週間前のオレは焼きそばパンを最後まで食べさせてもらえなかったぐらい忙しかったからなァ。』
3週間前の1月中旬。
東海道新幹線が運休せずに徐行運転した程度の大した量ではない降雪だったせいか、油断して足元をとられて転倒し、骨折・・・というちょっぴり残念な人が続出。
「森村せんせ~い。もうギブス外していいの~?」
『指の運動する時だけ!後はギブスを包帯で巻きつけといてよ。』
「はぁ~い。」
雪の日なのにスーパーに買い物に出かけ滑って左手の薬指・小指の骨折をした50代のおばちゃん。
「森村先生!手首をつけないとヤることできなくて、彼女もご不満そうなんですけど~。」
『自業自得だろ?キミのことを思いやれない彼女なら、別れてオレのところへ寄越せ!散々、相手してやるからって言っとけ。』
「無理無理無理~」
試験に遅刻しそうだからと雪が降る中、自転車に乗り、アイスバーンにタイヤをとられ自転車ごとひっくり返って・・・・橈骨遠位端骨折(手首辺りの骨折)を受傷した男子大学生。
『じゃあ、死ぬ気でリハビリしとけ。どうしてもヤりたいのなら、反対の手だけで体を支えればノープロブレムだけどな・・・なんなら一緒に新しい体位とか考えてやる?』
「・・・・・・丁重にお断りします。」
『うわ~考える気、マンマンだったのによ~なァ、松浦クン?』
“加藤クン、ちょっとこのまま待ってて!”と松浦クンはその男子大学生に言い残し、オレをリハビリスタッフルームに引き摺り込んだ。