春色溺愛婚 〜歳上御曹司の溺愛で陰険お嬢様は乙女に変わる〜
ハッキリといえばそういう事になる。一輝さんの目的が果たされれば、私達が結婚生活を続ける意味などなくなるはず。それなら離れた方がお互いのためになる、そう思ったから。
「私と離婚して、梓乃さんが二階堂の家に帰れるとは思えませんが……」
「そうですね、離婚した後は私も一人で生きていくことになると思います。あの父が離婚をするような娘を受け入れるとは思えませんから」
それも高宮という大きな家との繋がりを壊すような、そんな役に立たない娘など必要ない。きっとそう言ってくれるだろう。その方が私にとっては都合がいいのだけど、一輝さんはそうは考えなかったようで……
「失礼ですが梓乃さんは少し考えが甘いのではないですか? 貴女のような箱入りのお嬢様が私と離婚して二階堂の家の援助も受けずにまともに生きていけるとは思えません」
一輝さんの言うことはもっともだ、今までのように小遣い稼ぎ程度に子供達にピアノを教えるくらいの稼ぎでは暮らしていけないでしょう。
それでもあの家に戻るという選択肢を選ぶ気はない、だから……
「貴方と結婚している間に私はいろんな勉強をし、資格を取るつもりです。一輝さんには離婚後に迷惑をかける気はありませんし、そんな心配をしてもらう必要もないんです」
もともと陰険で誰かと一緒に暮らすなんて向いてないことはよく分かってる。いつかはあの家を出て一人で暮らすつもりだったのだから。
その間に一度くらい結婚してみるのもいいかもしれない、それで自由が手に入るのならば。