春色溺愛婚 〜歳上御曹司の溺愛で陰険お嬢様は乙女に変わる〜
契約結婚の、心の準備とは?
「こんな時間まで遊びまわるなんて良い御身分ね、男好きなのは千夏に似てるのかしら?」
家に帰るなり玄関で待ち伏せでもしていたかのような姉に、訳の分からない嫌味を言われカチンとくる。一輝さんとのやり取りで少し落ち込んでいたせいもあって、普段なら流せる百々菜の言いがかりも癇に障った。
異母姉の千夏は決して男好きでなどないし、一途に今の夫である新河さんを慕っている。
男好きというのは派手な事ばかりを好み、自分中心でしか物事を考えず男性の前ではいい顔ばかりするお前の事だと言ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
父や兄には隠しているが、百々菜がどれだけ外で羽目を外しているのかを私はちゃんと知っている。
「なんです、それ? もしかしてたった一人の相手として選ばれたことに対する嫉妬ですか? 見る目がある男性ですもんね、新河さんも高宮さんも」
遊び相手ならいくらでもいるだろうが、百々菜にはいくら縁談が来ても纏まらない。性格の悪さと高飛車な態度が原因だと本人が分かっていないのだから驚きだ。
彼女の被る猫は脆く、あっという間にその本性がバレてしまうのだから仕方ない。
「私に向かって、よくもそんな事を! 覚えていなさい!」
嫌味合戦なら負ける気はしない、性格の悪さで勝負しても私の方が余裕で勝てる自信がある。簡単に言い負かされた姉は顔を真っ赤にしてその場を後にした。
……ふん、自分から喧嘩売ってきたくせに。どうせまた父や兄に泣きつくんでしょう、馬鹿な女だわ。