冷え切った皮膚でも抱いといて
胸に抱く劣情を堪えることで神崎が苦しむくらいなら、彼の中にあるそんな忍耐力、必要ない。捨ててしまえばいい。捨ててしまえ。捨てて。神崎。そんなの、いらない。俺に容易く触れられない、触れたらいけないなんて、思わなくていいし、もっと、もっと、貪欲に。アイスだろうがジュースだろうが関係ない。俺は神崎に、触れられたい。体温が極端に低くても、触れてほしい。手だけじゃなくて。唇でも。
この、届きそうで届かない距離感に多少なりのストレスを覚えながら、俺は何をしても温まらない冷え切った手を伸ばした。そうして、神崎に倣うように、彼の肌を指先でなぞる。秋月、と掠れ気味の神崎の声。俺の手を払い退けることもしない、受け身の姿勢。揺れ動く理性。は、と小さく漏れた吐息すら、神崎を求めて速まってしまっているかのようだった。
もう、知らない。知らない。自分が、神崎が、どうなろうと、知らない。脆い関係が崩れようとも、意図せず感情が口から漏れようとも、それで、俺が、溶けても。知らない。待てない。もう、待てない。神崎が遠慮しているのなら、こっちから仕掛けて触れてもらうしかない。それが、本望だ。俺が神崎に求めて、期待していることだ。だから、神崎。神崎。俺を。その手で。俺を。その唇で。俺を。
「……抱いて、神崎」
この、届きそうで届かない距離感に多少なりのストレスを覚えながら、俺は何をしても温まらない冷え切った手を伸ばした。そうして、神崎に倣うように、彼の肌を指先でなぞる。秋月、と掠れ気味の神崎の声。俺の手を払い退けることもしない、受け身の姿勢。揺れ動く理性。は、と小さく漏れた吐息すら、神崎を求めて速まってしまっているかのようだった。
もう、知らない。知らない。自分が、神崎が、どうなろうと、知らない。脆い関係が崩れようとも、意図せず感情が口から漏れようとも、それで、俺が、溶けても。知らない。待てない。もう、待てない。神崎が遠慮しているのなら、こっちから仕掛けて触れてもらうしかない。それが、本望だ。俺が神崎に求めて、期待していることだ。だから、神崎。神崎。俺を。その手で。俺を。その唇で。俺を。
「……抱いて、神崎」