嘘と、恋。

その後、康生さんのマンションへは、
タクシーを着払いにして戻って来た。


家に帰れば、お金は有るからと康生さんが言うので。


数時間振りに戻って来た、康生さんのマンションの部屋。


リビングのテーブルに置きっぱなしにしていた、私の新しい衣類が入った紙袋は、
部屋のすみにへと纏めるように置かれている。


「まりあちゃんと合流してそのまま何か食べに行こうと思ってたのになー。
永倉のせいで予定狂ったな。
て事で、今日の夜ご飯はピザのデリバリーでいい?
ピザが嫌なら、他に考えるけど」


そういえば、お腹空いたな、と思う。


色々あってそれどころじゃなかったけど、
もうそんな時間か。


部屋の壁にかかった時計を見ると、
夜の19時。


「康生さん、手痛いですか?」


包帯でグルグルに巻かれたその手を見る。



「多少骨とか砕けたかもしれないけど、
わりと動くし力も入るから、大丈夫。
もしかしたら、後遺症で指先の感覚とかなくなるかもしれないけど」


アハハ、と笑っているけど。


本当は、病院とかに行った方がいいくらいの重症だろう。


「まりあちゃん今日は疲れただろうから、
風呂でも入って来なよ?
その間に、ピザ頼んでおくから」


「はい…」

特に断る理由もないから、それに従うように頷いた。


本当に手大丈夫なのだろうか?と気になるけど。


後ろ髪引かれるような気持ちで、
着替えを持ちバスルームに向かった。

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