嘘と、恋。

風呂から上がり暫くすると、二人では食べきれないくらいの大きなピザが届いた。


それを、康生さんと二人リビングのテーブルで向かい合って食べる。



それを食べ終えた頃、ついているテレビでヤクザものの映画が始まって。


それを康生さんと観た。


康生さんは時々、こんなのあり得ないし、とか言っていて。


私はその度々、それは現実的にあり得ないのか、と思った。


先程のナガクラさんと康生さんのように、
短刀で手の甲を突き刺すシーンがあって。


あり得る事もあるんだな、と思った。


康生さんも、そのシーンについては何も言わなかった。


その映画が終わり、


「俺、風呂入って来るから。
先に寝てて」


そう言って、康生さんはバスルームへと行った。


リビングのテーブルには、ピザの残りが入った箱が置きっぱなしだけど。


どう片付けていいのか分からないので、そのままにした。


今、康生さんがバスルームに居るので、
キッチンで歯磨きをする。


その歯磨きセットは、元々私が家出の時に持って来ていたもので、ボストンバッグの中に入れていた。


そして、歯磨きを終えると先にベッドへと入った。


暫くすると、康生さんも寝室へと来て。


なんの躊躇いもなく、ベッドへと入り私の横へと寝転ぶ。


「康生さん、してもいいですよ?」


「まりあちゃん。
女の子がそんな事言わないの」


ちょっと、苦笑していて。

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