離婚しましたが、新しい恋が始まりました


「秦野さんは公園で倒れていて、救急車でこの病院へ運ばれて来たんです」

紬希は冷静に説明をしたが、里華は納得しない様子で喚き続けた。

「こんな病院に来たくなかった。帰るわ!」

まだ点滴を続けているのに起き上がろうとする。

「秦野さん、まだ点滴が終わっていません。もう少しお待ちください」

これだけ妻が取り乱しているというのに、夫である貴洋は無言だった。冷めた目で里華を見つめている。

「ご家族の方がお見えですよ」

紬希が貴洋が来ている事を話すと、里華はいっそう興奮した。

「あなたなんて、あなたなんて……」
「里華、落ち着きなさい」

ようやく貴洋から出た言葉は、里華をたしなめるものだった。
それを聞いた里華の目から、大粒の涙がポロポロと零れてきた。

「何よ、あなたなんて大嫌い。その人とやり直す気なんでしょ!」

今度は紬希が驚く番だった。



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