離婚しましたが、新しい恋が始まりました


「イヤだっ!帰って!」
「秦野さん」

かなり興奮している。紬希は急いでナースコールを押した。

『どうした?』

すぐに村上の声がした。

「先生、お願いします」

病室へ入って来た村上は、わあわあ泣き出した里華を見て驚いていた。

「少し落ち着いたほうがいいな。チョッと眠ってもらおうか。有沢、準備して」
「はい」

軽い鎮静剤を点滴ルートから入れると、次第にとろんとしてきた里華は眠りについた。

「さて……ご主人ですか?」
「はい」
「奥様は精神的なもの……ストレスからでしょうか、少し不安定なご様子です」

「ええ……」
「お心当たりは?」
「家庭の事情なので、お話出来ません」
「そうですか。ここにしばらく入院されますか?」

村上は、あえて貴洋に尋ねていた。体調としては、脱水症状がおさまれば入院するほどではないのだが、今の精神状態では家に帰すのは難しそうだ。

「それは……」


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