離婚しましたが、新しい恋が始まりました


「転院なさいますか?」

あえて、紬希が口を挟んだ。彼女には里華と直接会った記憶は無いが、里華は紬希を知っているようだったし、貴洋と復縁するなんてとんでもない誤解をしているようだ。
紬希のいる病院は嫌がるだろう。

「紬希……」

すがるように、貴洋は紬希の方を見た。

「何かあったらすぐに呼んでくれ」

村上は何か察したのだろう。何も言わずに病室から出て行った。部屋には貴洋と紬希、そして眠っている里華の三人になった。

「奥様は、どうなさったの?公園に倒れていたみたい」
「ああ……家を出て行ったんだ」
「家出?」

「母と大喧嘩したらしい」
「何ですって?」

あのキチンとした性格の姑が、そんなバカなと思ったが貴洋は真剣だ。

「母が、君との復縁を匂わせたんだ。だから、里華は君に会いに行ったんだろう」

それで、マンションの近くの公園に来て紬希を待ち伏せていたのだろう。だが、彼女は夜勤だったから冷え切ってしまって倒れたのだ。


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