きみの瞳に映る空が、永遠に輝きますように
夢から覚めるとベッドに張り付けられた状態だった。
時計は午前4時を指していたが、隣の病室が騒がしくて目は冴えた。
嫌な予感がした。
確証は無かったが、その嫌な予感は透真くんに何かが起きているからではないか、と思った私は床を這うようにして透真くんの病室に向かった。
隣とはいえ、今の私の身体はそれさえも困難な状態だった。
きっと、夢を見たことで病の進行を進め、寿命を縮めてしまったのだと思う。
やっとのことで身体を動かし、部屋に向かう。
以前よりは力が入らず、一歩一歩が苦しい。
途中からは這うようにして進んだ。
「と……」
名前を呼ぼうとしたところで力が切れ、その声に反応した早紀さんが傍に駆け寄る。
早紀さんの肩を借りてやっとのことでベッドの横に着くと、看護師が持ってきた車椅子に乗せられた。
「透真……くん……まだ……まだ早いよ」
掠れた声で必死に口を動かす。
何度も空回りし、上手く話せない。
「透真はさっきまでずっと微笑んでいたの。意識が薄れていってもずっと」
それでも早紀さんは最後まで口を見て聞いてくれていた。
そして、早紀さんからそれを聞いたと同時に、涙は収まらなくなった。
夢の中で一緒にいたあの時間を、透真くんは心の底から喜んでくれていたのだと思うとそれ以上の幸せはないと思った。
それから少しして、透真くんは眠るように静かに旅立った。
朝焼けにいつものクシャっとした笑顔を映して。