君の奏でる恋の音色
プロローグ
 心の中にある何かが一生懸命叫んでいるの。

 外に出ることもできないままずっと、心の中で暴れまわっている。

 いつの間にか傷だらけになっている腕は、ひりひりとむず痒い。白いシャツにうっすら赤く滲んだ血はできる限り見えないようにブレザーで隠すのが基本だ。
 どこにいても笑顔が一番大切。心のうちに暴れまわっているものは必死に無視をして、、。

 仮面なんてものはない。これが正真正銘本物の自分なんだ。

「笑顔でいれば何とかなるでしょう?」

 今日も私は自分の笑顔を精一杯大切にするんだ。苦しい過去なんて、哀れで寂しい過去なんて全部忘れてなかったことにしてしまえばめでたしめでたしでしょう?
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