お館様の番選び
子供は大好きだ。朧と番様の間に生まれた子供のお世話だってきっと出来るし、任せてもらえるだろう。

幸せそうなお館様ご家族の側でわたしも番とともに過ごしているのだろうか?

ピンとこない……。

落ち着いたら…この町を出てもいいかなぁ……。唐突にそんな考えが浮かんだ。

…いや…ないない…。頭を振って沸いた思いを消してみるが、一度浮かんだ想像は日に日に大きくなってきていた。

…そうだ。朧と番様の赤ちゃんが無事生まれるのを見届け、その時にまだ番を見つけることが出来ていなかったら…朧の力で人間にしてもらってこの町を出よう……そんなことを考えるようになっていた。

…やっとの思いで朧にお願いをしてみたら……わたしは今朧の部屋の床の上に正座をさせられて、朧に怒られていたのだった……。

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