お館様の番選び
(朧視点)

「まじで邪魔した。いいとこだったのにごめんな。」

明さんは手に持っていたコーヒーを机におくと、僕を起こそうと手を伸ばす。

その手をパシッと払うと自分で起きれるからとたちあがった。

「……わざとだろ?」じと目で明さんを睨む。

「はは。ばれたか。」

明さんは甘めの垂れた目を細めて笑った。

「あと少しの辛抱だろ?」

「…まあね…。」

あかりには蜜月の儀式が終わるまで待つようにいったが、それは嘘だ。

あともう少し、あともう少しであかりを手にいれる……あかりを手放すつもりなんてまったくない。

「じゃあ、さっきみたいなことは自分で我慢しろよ。」

明さんは僕の頭にポンと手を乗せながら笑っている。

「…分かってるよ。」

明さんの手を払いながら言ったが、明さんが入ってこなかったら正直…やばかった……。
< 125 / 138 >

この作品をシェア

pagetop