お館様の番選び
午前中は神社で先祖の神々に無事に成人を迎えたことを報告する神事が行われる。

それが終わると午後からお館様一族や獣人の長たちに朧様がお披露目され、まだ番のいない朧の蜜月の儀式の始まりが宣言される………はず…だった。

「本日は息子、朧の成人を皆様と祝えること父親としてとても嬉しく思います……」

まずはお館様の挨拶からはじまった。

「…成人を迎えこの町を父の指導のもと共に治めていくこととなりました。未熟者ですが、どうぞ暖かい目でお導きくださいますようご指導よろしくお願いいたします…」

朧の挨拶が続く……会場に拍手がおこる。

…よかった…わたしはホッと胸を撫で下ろした。

あとは蜜月の儀式の宣言だけ…よしっと気合いを入れ直したところで朧の声が響いた。

「…これよりわたしは番とともに蜜月期に入ることを皆様にお伝えします。…蜜月期が開けた際には番と新たな命をお披露目いたしますので楽しみに待っていて下さい…。」

そう言い残すと朧は会場を後にした。会場は歓喜の声で満ちていた。


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