お館様の番選び
気が付くと朧がわたしを抱きしめている。涙も引っ込んだ。

「…おっ、朧…。番様が待ってるんでしょ…?わたしは大丈夫……だから…行って……。」えっ?

朧の唇がわたしの唇を優しく塞いでいた。

…朧…なんで…わたしに…キス…してる…の…?触れた唇から甘い吐息が吹き込まれる…朧…?

ゆっくり朧の顔が離れていき、朧の琥珀色の目と視線があった。

「…あかり…ごめん……。」

……なんで…謝る…の…。

朧の琥珀色の瞳がゆっくりと色を変え、蜂蜜色の満月のような金色になっていく。

その瞳に魅了され、わたしはまったく動けなくなっていた。
< 131 / 138 >

この作品をシェア

pagetop