お館様の番選び
ん?なに……この…甘い…匂い…。なん…か…こそ…ば…ゆい…。

はっ?わたしは慌てて目を開ける…。

「…朧…あっあんたっ…何してんのよー!」

「…何って?…僕の番と睦あってんだけど…。」

そういって朧はわたしの首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。かぷっ。

「痛っ!」

えっ?今、…朧に噛まれた…。

朧が顔を上げわたしの顔を幸せそうに覗き込む。

「……なんで噛むのよ…。」

「あー。番が美味いって本当だなって思って…かな?」

「…あかりも噛みたいでしょ?僕が美味しそうに見えない?」

「………。」

「…もしかして…まだ…思い出してない…とか?…ならもう一回…」

朧の瞳の色が変わっていく…。!!

「朧っ。思い出したからっ…全部っ!だから一旦、落ち着……んっ…ふぁ…」

…思いっきり殴ってやったのに、朧は満足するまでわたしを抱き潰したのだった……。
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