お館様の番選び
父には全て報告した。

あかりが僕の番だということは、あかりの様子が落ち着いたら自分から伝えるので、それまで皆には話さないようお願いをした。

父は僕に任すとのことだった。

それから明さんを呼び、僕とあかりの治療をお願いした。

明さんはあかりの叔父で、この町の病院に勤める医師であり、この家の主治医もしてくれていた。

「朧様っ。あかりがご迷惑をかけたって聞きました。申し訳ありません。また、あかりを見つけて下さってありがとうございます。」

あかりの父と明さんには、山中をさまよっていたあかりを見つけ保護した。その際にあかりに噛まれたと説明した。

話を聞いていた二人は青ざめて項垂れていた。

次期当主の身体に傷を付けたことを重く受け止めているようだ。
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