お館様の番選び
「満月の夜のことなので、あかりを責めないで。」

「それではお館様に仕える一族として示しがつきません。」

明さんに目をやると、明さんは頷き、寝ているあかりを抱え、そっと部屋を後にした。

「おじさん。僕は騒ぎを大きくしたくない。この傷が治るまで、外に出ないつもりです。この家に仕えているというなら、僕はこの話が外に漏れないようにしてもらいたい。…それと……傷が治ったら、あかりをこの家に呼びたいんだ。」

「あかりを…それはどういう…?」

「あかりを側近として僕に下さい。おじさん、お願いします。」

僕は頭を下げてお願いをした。

「……。」

おじさんはなにか考えているようだったが、ふぅっとため息をつくと

「あの子になにが出来るか分かりませんが、朧様が望まれるなら…どうぞ宜しくお願いします。」

と僕以上に頭を下げていた。
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