お館様の番選び

朧を朧専用の浴室に放り込み、朝の身支度をさせたら、お館様ご家族(今はお館様と番様、それから朧の3人)は神社へ朝のお務めに行かれる。

神社まで朧を送り、神社で働く獣人たちに朧のことはお任せし、朧がお務めしている間に洗濯をし、朧の部屋と自分の部屋の掃除を済ませる。

朝のお務めが終わる頃に神社まで迎えに行き、お館様たちの朝食の時間となる。

お屋敷に戻ると、お屋敷のダイニングにはわたしの母たちが準備した美味しそうな朝ごはんが並んでいた。

お館様、番様、朧が順に座り食べはじめるのを見届けると、わたしも朝食を食べに私たち側近用にある別室に向かおうとした時だった。

「あかりはここに残って。あかりの分もこっちに準備お願いします。」

朧は隣の席を指して近くにいた人にお願いしていた。

「なっ、なっ、なっ……何をいって…。」

「何って？せっかくだから前みたいに一緒に食べよーよ。」朧はにっこりと笑う。

いやいや、それはわたしたちがもっと小さい頃の話だから……。

わたしと朧はもう主従関係であって、お館様ご家族と食事を共にするのは駄目な訳で……と助けを求めてお館様と番様に目をやるとお二方もにっこりと微笑んだ。

「あら。それは賑やかでいいわねぇ。」
「ふむ。誰か、もう一膳ここに頼む。」

……そしてお館様ご家族と食卓を囲む日常が始まるのだが、さすがに初日は朝からどっと疲れてしまった。