“ただの”可愛い彼氏
同じ制服がちらほら見える,賑わう放課後の道を歩いていたとき。



ーぐうぅぅ……ギュゴォォォ



先に言わせて貰うけど,私ではない。

純は斜め下に視線を向けて,後頭部に左手を置いている。



「ごめん。俺腹へった」



どこか気まずそうに言う純に笑いが込み上げた。



「ふっふふっ……何か,探そっか」

「むぅ…うん」



……素直だ。

もう何もかもが可笑しい。



「あれとかどう?」



私が指すのはタコ焼き。

彼は頷いて,買ってくると私にも一つくれた。

食べ終わった純を見て,私もポツリと言う。



「私も何か食べようかなぁ」

「じゃああれは? 俺も食べる」



今度は純が指を指す。

たい焼き……久しぶりだ。



「うん。あれにする」



あんまり胃に重たくないし。

私達はたい焼きを売っているおじさんのもとに足を向けた。
< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop