ただ、まっすぐ君を想う。

「ねー、凰ちゃん
コタツないの?」



「んー、コタツない
オレも雛が来るから
ネットで探したりしたんだけど
こっちで使えるコタツないんだよね」



「え!私のために?」



「うん、だって雛コタツ好きだろ」



うん

コタツが好きなんじゃなくて

凰ちゃんと入るコタツが好き



「じゃあ、作ろうよ!
えっと、このテーブルに…
大きめのシーツとか布団ないの?」



「えー…あったかな…」



凰ちゃんとコタツを作った



ソファーの前のテーブルに

無理矢理あるだけの布を掛けた



「できた!」



「おー…」



「オーストラリアで凰ちゃんと
簡易コタツに入ってみた!
イエーイ!」



「「…寒いね…」」



「普通のテーブルだから…」



「ダメか…」



「ダメじゃないかも…
雛、こっち来なよ」



凰ちゃんが自分が座ってる前をあけた



「ん…」



「別に愛もいないし、いいだろ」



凰ちゃんと一緒にコタツに入ってるところ

お姉ちゃんに見られてから

凰ちゃんと距離をとってた



「うん…」



凰ちゃんの前に座った



「コレなら、温かい?」



凰ちゃんの体温が

私を包む



「うん、温かい
コタツで一緒に寝る?」



言ったあとに

あ!って思った



子供の頃の気分だった



「寝ない
風邪ひいたら大変だろ」



「うん、そーだね」



キッパリ

断わられた



コタツで凰ちゃんに

スマホで撮った最近の写真を見せた



こーしてると

日本にいるみたい



「愛の旦那の写真ないの?」



「んー、ないかな…」



「なんか理由ないと日本に帰れないから
愛に結婚式しろって言ったんだけどさ
雛が羨ましがるからしないって…」



「え、お姉ちゃんそんなこと言ってたの?」



「うん
お姉ちゃんいいな!
お姉ちゃんズルい!
私もお姉ちゃんみたいなドレス着たい!
って、絶対言うだろ」



「うん…言うかも…
じゃあ、私のせいじゃん!
お姉ちゃんが結婚式しないの」



「愛は、いつも雛のこと考えてるよ

オレが高校の時
愛にフラれた時も
雛が凰貴のこと好きなのに
付き合えないって…
かわいくて大好きな妹を
悲しませたくないって…」



え…

知らなかった



「じゃあ、私がいなかったら
凰ちゃんとお姉ちゃん付き合ってたの?
私、邪魔者じゃん…」



胸が痛くなった



そんなこと

何も知らなかった



お姉ちゃんは

ずっと知ってたんだ



私が凰ちゃん好きなこと



「その前に
オレのこと男として見れないって
言われたけどね」



「ごめん…

凰ちゃん
お姉ちゃんのこと好きだったのに…

私のことなんて…」



女として見てなかったよね



「オレにとっても
かわいくて大好きな、雛だけど…」



凰ちゃんが

後ろから抱きしめてくれた



「オレも雛のこと
悲しませたくないよ」



凰ちゃんの顔が見たくて

凰ちゃんの方を向いた



「凰ちゃん…」





大好きな人の腕の中にいる



凰ちゃんに触れたくて

凰ちゃんの頬を触った



目…鼻…唇…

指でなぞった



凰ちゃん

大好き



恥ずかしくなって

凰ちゃんの胸に顔を伏せた



凰ちゃんは

何も言わずに

私の髪を撫でてくれた



凰ちゃん

キスしたい



ゆっくり顔をあげたら

凰ちゃんの手が

私の頬を包んで

指先で唇を撫でた



こんなに近くにいるのに

こんなに触れて欲しいのに

こんなに大好きなのに



もどかしい



凰ちゃんの手を

軽く噛んだ



「痛…なに噛んでんの?犬か!」



「んーん…猫」



噛んだ手を舐めた



凰ちゃんが

キスしてくれないからだよ



「ちょうど、ひとりで寂しかったから
猫飼いたかったんだよね」



凰ちゃんが

また私を撫でた



寂しいなら

帰って来てよ



凰ちゃんの首を舐めた



身体が熱くなる



「雛がしたかったイチャイチャって
こんな感じ?
温泉から電話してきた時
言ってたじゃん」



「わかんない…
したことないから…」



「してみたいの?」



黙って頷いた



「オレもしたことないから
わかんないな…」



凰ちゃんのイジワル



凰ちゃんをギュッて掴んだら

ギュッてもっと強く抱きしめてくれた



凰ちゃんの胸の音が聴こえる



凰ちゃんも

ドキドキしてるんだ



なんで?



私も

もっとドキドキするよ



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