ただ、まっすぐ君を想う。
残りの夏休みはバイトだった
「一条さん、久しぶり
オーストラリア行ってきたんだっけ?」
「うん
お土産バックルームにあるから食べてね」
凰ちゃんのいない日常は
やっぱりつまらない
「ありがと
オーストラリアは冬だから寒かった?」
「んー…寒くなかった
凰ちゃんがいたから温かかった」
「そっか、彼氏に会いに行ったんだ」
「彼氏じゃない!
凰ちゃんは彼氏とか
そんな簡単なものじゃないの
もっと大好きで…
凰ちゃんも私のこと…」
「で、楽しかった?」
「うん、楽しかったよ
もったいないから冴島くんには教えない
で、冴島くんは?
夏休み彼女と何してるの?
花火とか海とか行ったの?」
私は凰ちゃんと
花火も海も行けないな…
でも
コレがあるから…
ネックレスに通した指輪を握った
「うん、行ったよ
あとはだいたい彼女のアパート行ってる」
「そっか、大学生独り暮らしか…」
「今日も行くけど…」
「アパート行って何してるの?」
「何って…
あ、そっか…
一条さんは、
おーちゃんと付き合ってないから
そーゆーことしないんだ」
バカにされた
自分だって
この前まで彼女いなかったクセに!
そーゆーことって?
「キスは、したよ…してくれたよ」
「へー…
毎日同じ部屋にいてそーゆーのなかったんだ
おーちゃんて神様みたいだね
一条さんが子供ぽいからじゃない?
ちゃんと、かわいい下着とか着けてたの?」
そーゆーのって?
「凰ちゃんは神様じゃなくて王子様なの!」
「一条さんが読んでた物語には
そーゆーシーン出てこなかっただろうけど
王子様も人間の男だよ
好きな人と毎日いたらそーなるのが
自然な流れだよ」
そーゆーこと
そーゆーの
そーなる
日本語?
かわいい下着
かわいい下着
かわいい下着
バイトの間
ずっと考えてた
私なりに
かわいい服着てたつもりなのに…
下着なんて
どーせ見えないと思ってた
凰ちゃんどんなのがいいのかな?
次のバイト代出たら買わなきゃ
強いて言えばもう少し胸があってもいい
凰ちゃん
そんなこと言ってたな…
アレはカンガルーのヒナのことか
「一条さん
変なこと考えてるでしょ」
「か、考えてないよ!」
「そお?顔赤いよ」
冴島くんに言われて
なぜか胸を隠した