ただ、まっすぐ君を想う。
夏休み最後の日
凰ちゃんに電話してみよう
こっちに帰って来て初めての電話
日本に着いて
〔凰ちゃん指輪ありがとう〕
〔愛してます〕
すぐにメッセージした
〔オレも愛してる〕
凰ちゃんからの返信メッセージと
凰ちゃんから貰った指輪と
凰ちゃんの写真を毎日見て
帰って来てから
ずっと
頑張ってた
凰ちゃんからも電話がないってことは
凰ちゃんもきっと頑張ってる
でも
たまには
声が聴きたい
「ハロー!凰ちゃん」
「☆÷≠△$♪×¥♡%#♡!」
「ん?なに?凰ちゃん」
「雛が英語だったから
オレも英語で返しただけ」
「わかんないよ
なんて言ったの?
もっとゆっくり言ってよ」
「内緒!
雛、顔見せて…」
「えー、今ダメ
お風呂あがったばっかりだから
髪もグチャグチャ」
「そんなの何回も見てるし…
雛の寝顔も見たし…
だいたい見てきてるから大丈夫」
「じゃあ…」
ん?
やっぱり下着も見られてた?
久しぶりに画面に映った凰ちゃん
またカッコよくなってる
また会いたくなる
「そーだ、そっち夏か…
暑いの?
雛、ずいぶん薄着じゃん」
「うん、今日は特別暑かったかも…
夏休みも今日で終わりなんだ」
「最後の夏休みだったね」
「うん
凰ちゃんのおかげで楽しかったよ
…
凰ちゃん
冬休みは、こっち帰って来る?」
「あー…今年の年末は帰れないかも…
ごめん」
「ぜんぜんいいよ!
私、バイト頑張って
冬休みも凰ちゃんのところ行きたいな
それならいいよね!」
「んー…
待ってて…って言ったじゃん
雛、もう少し…」
「ごめん…
もう少し、大人になるね」
「雛は謝らなくていいよ
でも、もう少し待ってて…
あ、オレがあげたネックレスしてくれてる」
「あ、見える?
うん、指輪もちゃんとあるよ」
ネックレスに通した指輪を
凰ちゃんに見せた
「うん、見えてた
雛、胸も見えてる」
「え!ウソ?」
「だって薄着だし…」
今更胸元を隠した
「別にオレには見えててもいいじゃん」
凰ちゃんは
どんな下着がいい?
聞けない
「ヤダ…」
久しぶりの凰ちゃんなのに
私ってカンジ悪い
「ごめん…
…
でもさ
今だから言うけど
オレだって男だし
正直、雛と寝てる時、辛かった」
「え!それってやっぱり
私の下着がかわいくなかったから?」
「え?下着?」
「あ…」
勢いで聞いちゃった
「あのね…
バイトの冴島くんがね
凰ちゃんとずっと一緒にいたのに
私がかわいい下着つけてなかったから
そーゆーことなかったって…
…
凰ちゃんは神様か…って言うから…
…
凰ちゃんは神様じゃなくて王子様だよ!
って言ったら
王子様でも人間の男なんだから
そーゆーことしたいって…」
「雛
そんな話、他の男としてほしくないな
…
オレは神様でもなくて王子様でもないよ
…
ヤキモチだって妬くし
雛のこと抱きしめて、キスして…
そーゆーこともしたかったよ
下着とかなんだって
雛に触れたいな…って毎晩思った
…
今だって…思ってる
…
絶対その格好で外出るなよ
誰にも見せるなよ
…
あー…ごめん…
大人気なくて…
…
でも
好きだったら
普通そぉ思うじゃん
…
ごめん…
雛の理想の王子様じゃなくて…」
凰ちゃんに
謝らせてしまった
「でも、雛
わかってほしい
…
オレがどれだけ雛のこと好きか」
「うん、わかった
…
私、凰ちゃんが迎えに来てくれるまで
頑張って綺麗になって待ってるから…
…
その時は…」
「雛、もぉ言わなくていいから…
それ以上言ったら会いたくなるから…
…
雛、かわいすぎる
今日、寝れない
あー…会いたすぎる」
「あ!アイツいるじゃん
ヒナだっけ?
凰ちゃんはヒナの胸でも揉んで寝てなさい」
「ヒナ、胸なさすぎる
あ、カンガルーの方ね!」
「もぉ、どっちでもいいです
…
凰ちゃん
キスしたい」
「子供は早く寝たら?
明日から学校だろ」
「凰ちゃん、イジワル…
オヤスミ…」
「うん、オヤスミ」
画面から凰ちゃんが消える前
凰ちゃんが近くなって
キスされたみたいだった
凰ちゃん
わざと?
私も寝れないよ
凰ちゃん
イジワルだな
クーラーで身体が冷えた
凰ちゃん抱きしめてよ
それから…
来年の夏には
私は凰ちゃんと
そーゆーことしてるのかな?
カンガルーのヒナよりは
胸あると思うよ
凰ちゃん
待ってるね
物語に描かれてない王子様の部分
見てみたいな
私の高校最後の夏休みは
凰ちゃんで始まって
凰ちゃんで終わった