ただ、まっすぐ君を想う。
「ハイ…」
「ありがと」
おごりのジュースを買って
冴島くんと一緒に店から出た
「おごってくれたってことは
当たったってことだよね?」
冴島くんが
ペットボトルを開けながら言った
「え?そーゆーこと?」
「や、オレが聞きたい」
そう言いながら
もぉ飲んでるし…
悩み
男関係
間違ってはいない
「雛ー!」
声の方を見たら
「凰ちゃん!」
凰ちゃんがいた
「え!なんで?
凰ちゃん、飛行機乗り遅れた?」
「ポテト食べ行くって約束したじゃん
だから雛がバイト終わるの待ってた」
「え、ソレ今日なの?」
「今日じゃない方がよかった?」
「え、私は…」
隣にいた冴島くんをうかがった
「じゃあ、一条さん
ジュースありがと
お疲れ様〜また明日…」
「あ、うん、冴島くん、お疲れ様」
冴島くん
空気読めてる
「雛、もしかして、オレ邪魔した?
今日は、やめとく?」
「邪魔?そんなことないよ
私は別に今日でも…
凰ちゃんは、大丈夫なの?」
「うん、雛の家行ったら
愛もいなかったけど
雛のパパがここのコンビニでバイトしてるって
教えてくれて…
でも、雛、これからデートだった?」
「そ、そんなんじゃないよ!
冴島くんは、ただバイトの…」
「レジで仲良さそうに話してたじゃん
バックルームからなかなか出てこなかったし」
誤解されてる
「それは、ちょっと話してただけで…
凰ちゃん、ずっと見てたの?」
「んー、まぁ…
雛がどんなふうに働いてるかな…って」
「凰ちゃん時間大丈夫なの?
今日帰るって…」
「もう少しいようかな…
なんか、雛といたら楽しかったから…」
「ふーん…
私、明日もバイトだよ」
ホントは嬉しかったけど
私も楽しかったって
言えなかった
「へー…稼ぐね
なんか使いみちあるの?
それとも、さっきの彼が好きなの?」
「え!もぉ!
冴島くんは、ただのバイトの人だって!」
「ずっと外で待ってて寒かったけど
なんか、熱くなった」
凰ちゃんがマフラーを外した
「もぉ…ホントに違うからね!」
「ハイ、ハイ…」
「凰ちゃん、信じてないでしょ!」
話しながら
ファーストフード店に向かってた
凰ちゃん
鼻先が赤い
ずっと待っててくれたんだ
「凰ちゃん、鼻赤いよ
冷たいの?」
「ん?どーかな?」
凰ちゃんの声と同時に
凰ちゃんの影が私に重なった
え…
凰ちゃんの鼻が
私の鼻に触れた
思わず
うつむいた
「どぉ?冷たい?」
「え…わかんない…」
「オレもわかんない
感覚なくなってる
雛、顔赤いよ
寒いの?風邪ひくなよ」
凰ちゃんが自分のマフラーを外して
私に巻いてくれた
恥ずかしくて
マフラーに顔を埋めた
もし
私がうつむかなかったら
どーなってた?
顔が赤いのは
凰ちゃんが鼻チューしたからだよ
凰ちゃんがもっと触れそうだったから
咄嗟にうつむいたんだよ
自分の鼻を触ってみた
凰ちゃんは
冷たくて感覚ないって言ってたけど
たしかに触れた
寒くないよ
熱いよ
コート脱ぎたいくらい