ただ、まっすぐ君を想う。
凰ちゃんと一緒に
家に向かった
「凰ちゃん、迎えに来てくれてありがと」
「オレ、ホントにお礼言われていいの?」
「ん?なんで?」
「え、なんでって…
…
雛、…好きなの?
…
さっき、聞こえた」
「え!」
凰ちゃんに聞かれた
凰ちゃんのこと
好きだって
聞かれた
神様に言ったからだ
ホントに
凰ちゃんに聞こえちゃった
「へー…好きなの?」
「ん…」
凰ちゃんに伝えてもいいのかな?
私の気持ち
「やっぱり、好きなんだ
さっきのバイトの彼」
「え?」
「友達と行くって言ってたから
バイトの彼と一緒に行ってるの知らなくて…
知ってたら迎えに行ってなかった」
勘違いされてる
凰ちゃん
私が冴島くんに
好きって言ったと思ってる
「うん、一緒じゃないよ!
ホントに…
最初は友達といたんだけどね
はぐれて…
そしたら冴島くんに偶然会ってね…」
凰ちゃんに
誤解されたくない
ホントのこと伝わるのも
嫌だけど
その誤解は
もっと嫌かも
「偶然会うとか、運命の人かもね
…とか、思わない?」
運命?
冴島くんが?
「そんなこと思わないよ!」
「オレは、思っちゃうから…
女々しいな、オレ
…
まぁ、わからないけどね
これからどーなるか…」
「どーもならないよ!冴島くんとは」
ムキになって
大きい声出しちゃった
「まー、いいけどね…」
きっと
凰ちゃんに
子供だなって思われた
「早く帰って年越し蕎麦食べよ!
ママ、天ぷらも用意してくれてるかな」
「あー…腹減った
なんか、ドッと腹減った」
怠そうに歩く凰ちゃんの手を繋いだ
「ほら、ちゃんと歩いてよ、凰ちゃん
早く!」
「雛、大人になったな…
さっきの彼
しっかりしてそうだったもんな」
「だから、違うって…」
凰ちゃんの言葉は
褒め言葉なのかもしれないけど
ぜんぜん嬉しくなかった
私は
まだ
凰ちゃんと手が繋ぎたい
まだ
子供だよ
私と凰ちゃんは
手を繋いでたら
お兄ちゃんと妹に見えるのかな
冴島くん
お兄さんて言ってたもんね
凰ちゃんの手
久しぶりだな…
やっぱり
好き
大きくて
優しい手