ただ、まっすぐ君を想う。
凰ちゃんも
私も
無言のまま
動画の音だけが部屋に響いてた
私の身体は
ドクンドクン…って
動画の音より大きい音が響いてる
凰ちゃんと
ふたりだけの
家
「ただいまー」
お姉ちゃんが帰って来た
「おかえり」
凰ちゃんが応えた
「凰貴来てたんだ
靴あったから…
…
みんなは?
…
…え…」
凰ちゃんの前に座ってる私を見つけて
お姉ちゃんが驚いた
「え、雛そこにいたの?
え、ちょっと、なに?
なんか、おかしくない?」
お姉ちゃん
動揺してる
別に悪いことしてるわけじゃないのに
お姉ちゃんに
見られたくなかった
「なにが?」
凰ちゃんは
やっぱり何も意識してない
「だって…
どう見ても付き合ってるふたりじゃん
…
え、なに?そーなの?」
「別にただ座ってるだけだろ
いつもこーしてたし…
そんなふうに思う愛がおかしいだろ」
やっぱり凰ちゃんは
私のこと
なんとも思ってない
私はまだ
凰ちゃんの中で
子供のままなんだ
「凰貴、責任取れるの?」
「は?責任てなんだよ」
「凰貴がなんとも思ってなくても…」
お姉ちゃんが私の顔を見た
きっと私
顔が赤い
お姉ちゃんに
気付かれた?
私の気持ち
「愛は自分のこと考えたら?
相手いるなら早く結婚しろよ」
「凰貴だって!
私は余計な心配されなくても
年越しにプロポーズされたから!」
お姉ちゃんが
翳した左手に
指輪が光った
お姉ちゃん
結婚するんだ
「あー、おめでと
よかったね
お幸せに…」
凰ちゃん
気持ちのこもってない言葉
凰ちゃん
やっぱり…
「オレだって
愛に言われなくても
ちゃんと考えてるし
なんとも思ってなくない
責任ぐらい取れるから!」
私の背中から
熱が逃げた