ただ、まっすぐ君を想う。
「凰ちゃん、おまたせ!」
凰ちゃんがちょうどコーヒーを入れ終わった
「おつかれ!
早かったね」
「そお?長かったー」
いつもより
何倍も働いた気がした
凰ちゃんはコーヒーを飲みながら
ふたりで家まで歩いた
「愛と話してきた」
「へー…そーなんだ
お姉ちゃん、浮かれてたでしょ」
「うん、浮かれてた
女の人って
好きな人と結ばれるって
幸せなんだろうね」
「男の人は違うの?」
「男は責任とかプレッシャーとか感じるかも…
あ、オレだったらね
たぶん…
まだ経験ないからわかんないけど…」
凰ちゃんは結婚するの?
今その質問をしたら
私の恋は終わる気がした
凰ちゃんと
すごく手を繋ぎたくなった
凰ちゃん
コーヒー飲んでる
飲み終わる前に家につきそう
「凰ちゃん…」
「ん?あ、コーヒー飲みたかった?
雛、お子様なのにコーヒーなんて飲めんの?」
凰ちゃんにバカにされた
「うん、私、子供だから…
コーヒーいらないから
凰ちゃん、手繋いでほしい」
「仕方ないな…
まったく、雛は…」
凰ちゃんが手を繋いでくれた
胸がキュッてなる
優しいな
凰ちゃん
たぶん
凰貴も気付いてるよ
お姉ちゃんの言葉が
何度も頭を過ぎる
ホントに?
凰ちゃんは
私の気持ちに気付いてる?
ちゃんと雛のこと
受け止めてくれると思うよ
凰ちゃん
ホントに?
「凰ちゃん…
…
好き…」
「え…」
凰ちゃんの少し焦った声に
私も焦った
「凰ちゃんの、手、好き
大きくて、温かくて…」
慌てて言い換えた
「オレも好きだよ
雛の手、小さくてかわいい」
凰ちゃんの大きい手に
包まれた私の手
言えなかった
凰ちゃんが好きって
「オレ暇だから、遠回りして帰ってもいい?
あ、でも、雛バイトで疲れた?」
「んーん…大丈夫だよ」
凰ちゃんといる時間が好き