ただ、まっすぐ君を想う。

「まったく、彼氏優先したいからって
オレを酔っぱらい扱いして…
酔ってねーよ」



凰ちゃんちのリビングに移動した



「お父さんとお母さんは?
もぉ仕事?」



「昨日からふたりで温泉行った」



「凰ちゃんは行かなくてよかったの?」



「うん
夫婦水入らずにしてやった
いいの、オレはここにいた方が楽しい」



凰ちゃん

ひとりでも寂しくないのかな



「雛、何飲む?」



凰ちゃんが水を飲みながら言った



「凰ちゃん、お酒飲まないの?」



「あぁ…酔ってないけど
これ以上酔わないようにする」



「じゃあ、私も水」



「雛と早く酒飲めるようになるといいな…」



「うん
お酒って美味しいの?」



「そんなにオレは好きじゃないけどね」



「そーなんだ」



でも飲めるようになったら

ちょっと凰ちゃんに近付ける



「お姉ちゃん
せっかく凰ちゃん帰って来てるのに
いつも彼氏優先でごめんね」



「別にオレはいいけど…
でも、さっき愛言ってたよ
雛のことは
彼氏より大切だって

血の繋がらない姉妹だけど
可愛くて仕方ないって

大切な妹だから…って」



「ふーん…
お姉ちゃん、そんなこと言ってたんだ
私もお姉ちゃんのこと好きだけどね」



「オレより?」



「え…」



「当たり前か…
オレより好きだよな
聞いたオレがバカだった」



私が答える前に

勝手に凰ちゃんが

答えを出した



お姉ちゃんと凰ちゃん

どっちも大好きだけど



どっちの方が好きかって

どっちも違う好きなんだよね



「あ、今日、私
冴島くんにバカって言われた」



「へー…
雛、彼の話、よくするね
なんか、楽しそうだな」



「楽しくなんかないよ
私の方が先にバイトしてて一応先輩なのに
最近は私に指図してくるし…」



「へー…
オレとどっちが好き?」



「え…」



そんなの決まってるのに

すぐに答えられなかった



ーーー



答える前に

口が塞がれて

口いっぱいにお酒の味がした



「…ん…凰ちゃん…?」



今の

なに?



「ごめん…
やっぱりオレ、酔ってるわ
雛、帰って…」



「ん…うん…」



ドキドキと一緒に

身体がどんどん熱くなった





酔ってる?


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