ただ、まっすぐ君を想う。

凰ちゃんに電話を掛けた



出てくれるかな?



「もしもし…雛…?」



「うん…」



「どーした?」



凰ちゃんの声を聞いたら

涙が滲んだ



「凰ちゃん…会いたい…」



「え…」



「凰ちゃん、会いたい」



「うん、聞こえてるけど…
オレ、もぉそっちにいないんだ
帰ってきたから…ごめん…」



「うん…
凰ちゃん…次はいつ会えるの?」



「当分そっちに帰らないかな…
雛はもぉオレに会いたくないと思ってた
あ、ビデオ通話できる?」



「うん…待ってね…」



髪を整えて

涙を拭いて

ビデオ通話に切り替えた



画面に映る凰ちゃん

やっぱり好きだな



凰ちゃん

ベッドかな?



布団から出てる肩は

素肌だった



「凰ちゃん、寝てたの?」



「んー、寝ようかな…って
ベッドに入ったところだった」



凰ちゃん

裸なんだ



「隣に彼女いるの?」



「いないよ
彼女なんか…
いたらビデオ通話なんかしないし」



「そっか…

凰ちゃん…ごめんね…」



「雛は何も謝ることないよ
オレが謝る

ごめん
キスなんかして…
無責任だった」



凰ちゃんに謝られて

また泣きたくなった



やっぱり

あのキスは

本気じゃなかった



「凰ちゃん、酔ってたんでしょ」



自分をこれ以上傷付けないために

自分に言い聞かせた



アレは

ホントの凰ちゃんじゃない



「酔ってなんかないよ

雛のこと
好きだからしたんだ」



好きだから…



「ウソ…
彼女いるのに
そんなこと言わないでよ」



「いないよ

彼女いたら
雛にキスしてない」



「え…」



「いたけど、クリスマス前に別れた

あと、愛のことも
もぉとっくに好きじゃない
好きじゃないって言うか…
好きだけどそーゆー感情じゃない」



好きなんじゃん



「言い訳?」



「いや、言い訳とかじゃなくて…

まぁいいや…
愛のことも好きだけど
雛のことも好き

どっちも好き

愛は愛だし
雛は雛
重ねてなんかないよ」



「ふーん…」



「まだなんか怒ってる?」



「ん?…んーん…」



「じゃあ、オレのこと嫌い?
大嫌い?なんだろ」



凰ちゃん、大嫌い!



「あ…この前は、ごめんね」



「まだ大嫌いのまま?
嫌い…ぐらいにはなった?」



「んー…どーかな…」



好き

大好き



「なんだよ
どーすれば嫌いじゃなくなる?
オレ、雛に嫌われたくない」



「んー…」



「教えて…」



「凰ちゃんは
なんで彼女と別れたの?
彼女いた方がクリスマス楽しいじゃん」



「あ、話変えた
そんなの雛には関係ないだろ」



「ケチ…
今後の参考にしようと思って…」



「あー、雛に彼氏ができた時のため?」



「うん」



「やっぱり好きなの?
あのバイトの…」



「だから冴島くんのことは好きじゃないって
好きじゃないっていうか…
そーゆー感情じゃない」



「あ、オレのマネした
けど、雛答えなかっただろ
あの時…
オレとどっちが好き…って質問に」



「それは…」



答えられなかった

凰ちゃんが好きって



それに

答える前に

凰ちゃんにキスされた



「で…なんで彼女と別れたの?」



「あ、また話変えた
オレのこと聞いたって参考にならないだろ」



参考になるよ



凰ちゃんから嫌われたくないし

凰ちゃんがどんな人を好きになるのか

知りたいもん



「彼女は
結構マメに連絡とりたい人だった
毎日電話したり
週末はいつも一緒
オレは
彼女優先にできなかった

3ヶ月ぐらい付き合ったけど
なんかお互い疲れて…
それで…」



「そーなんだ…」



私もマメに連絡とりたいかも…



凰ちゃんは

そーゆーの嫌なんだ



好きだったら

毎日会いたいじゃん



「3ヶ月付き合って結婚する人もいるのにな」



「お姉ちゃん?」



「うん、そぉ…
オレはプロポーズできなかった」



凰ちゃんは

どんな人と

結婚するのかな?



「結婚したら、毎日一緒だよ
凰ちゃん、結婚できるの?」



「うん、好きだったら毎日一緒にいたい」



「え…だって彼女は?」



「んー…
ホントに好きじゃなかったのかもな…」



「最低だね、凰ちゃん」



「あ、やっぱりまだオレのこと大嫌い?」



「んー…」



「今度は妥協して付き合わないことにする
ホントに好きな人と付き合う」



「うん、そーだね」



そしたら

凰ちゃん



その人と

結婚するんだね



寂しくなった



「凰ちゃん…」



「ん?」



「大嫌いから…ちょっと好きになった」



ホントは

大好き



「今度は
無闇にキスもしない

気持ちが通じ合ったらするようにします
ホント、ごめん」



「…うん…」



もぉ

キスしてもらえないかも



凰ちゃんのこと

私は大好きでも



凰ちゃんが私のことを

大好きにならなかったら



してくれないんでしょ



「凰ちゃん、おやすみ」



「え、寝るの?」



「凰ちゃん寝ようとしてたんでしょ」



「そーだけど…
雛から電話きて嬉しかった」



「うん、またね…」



「うん、ありがと
学校頑張れよ」



「うん」



しばらく電話できないな



凰ちゃんに嫌われたくない



マメに連絡したらダメ



毎日電話なんか

もってのほか



凰ちゃん

今日も

大好き



きっと

明日も



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