ただ、まっすぐ君を想う。
「もしもし…
雛…?
…
雛…?」
「…うん…」
久しぶりに
大好きな凰ちゃんの声を聴いたら
声が出なかった
「どーした?雛
久しぶり…」
「うん…久しぶり…
今日から学校始まったんだ」
「そっか…3年生?」
「うん、無事に3年生」
「あと1年だな…
ちゃんと進路考えないと
あっという間に1年経って後悔するぞ」
あと1年…
あっという間かな?
私には
長いな…
凰ちゃんのいない日常は
長い
「凰ちゃん
日本が夏になったら
オーストラリアは冬なの?
ネットで調べたんだ」
「うん、そーだね…」
「私、暑いの苦手だからさ…」
「そーだっけ?」
「夏休みにオーストラリア行きたいな…
凰ちゃんのところ、遊びに行きたい」
凰ちゃんが帰ってこれないなら
私が行けばいんだ!って気付いた
ネットでいろいろ自分なりに調べたんだけどな
「…」
凰ちゃんの返事がなかった
「凰ちゃん、忙しいか…
…
迷惑かけないから…
凰ちゃんの仕事の邪魔しないから…
だから…」
凰ちゃんに怒られる
絶対ダメ!って言われる
「うん、オレも会いたいよ
雛に会いたい
ひとりで来れるの?
ママとパパがいいって言うならいいよ
オレ、空港まで迎え行くから…」
「え!いいの?
凰ちゃん、面倒くさくない?」
「だって雛、来たいんだろ
断わる方が面倒くさい
雛、駄々こねそうだし…」
「うん、行きたい
凰ちゃんのところに行きたい」
「うん、待ってる」
「凰ちゃん…
…
まだ
大好きだよ…」
「うん、オレも…」
凰ちゃん
オレも…なに?
ちゃんと言ってよ
また面倒くさいって思われるから
言わなかった
「しばらく電話なかったから
雛、彼氏できたかな…って…」
「え、それって私を信用してない?」
「信用してないとかじゃないけど…
心配だった」
「凰ちゃん、心配しないでよ
いつまでも子供じゃないよ」
「そーゆー心配じゃなくて…
…
雛…早く大人になってよ
…
待ってるから…」
「え!うん!
夏休み楽しみにしてるね!」
「まぁ、いいや…」
「ん?なに?凰ちゃん」
「なんでもない
かわいい、雛が好きなだけ…
オレも夏休み楽しみにしてる」
もぉ…凰ちゃん…
恥ずかしくて
勝手に電話を切った
また凰ちゃん
怒ってるだろうな…
耳に残る
凰ちゃんの声
雛が好きなだけ…
久しぶりに
スマホの中の凰ちゃんの写真を見た
今日は
ちょっと
寂しくない