ただ、まっすぐ君を想う。

「あ、雛?」



久しぶりの凰ちゃんの声



しかも凰ちゃんから電話がきた



「うん
凰ちゃん、どーしたの?」



「さっき誰かと電話してた?
ずっと繋がらなかったから…」



「うん
お姉ちゃんと電話してたの」



「へー…ずいぶん長電話だったね」



もしかして

凰ちゃん

何回も掛けてくれてたのかな?



「うん、お姉ちゃんと久しぶりに話した
今日ね、私、誕生日で
パパとママとお祝いして
お姉ちゃんは来れなかったから
それで電話してくれたの」



「オレも行けなかったけどね」



「え、凰ちゃんも覚えてた?
私の誕生日」



「うん、覚えてるよ
好きな人の誕生日ぐらい」



「え、凰ちゃん
聞こえなかった」



ホントは聞こえてた



ただ

好きな人って言われて

ビックリした



「ん?なんでもない」



なんだ

もう1回言ってくれないんだ



でも

嬉しくて

たぶん顔ニヤけてる



「雛、18歳なったの?」



「うん、18歳」



「ちょっと大人じゃん」



「ちょっとね」



「今日渡せないけど
雛にプレゼント買ったから
会った時、渡す」



「ホントに?なんだろ…嬉しいな」



会いたいな

凰ちゃん



「雛、顔見せてよ」



「ん?今日はダメ」



凰ちゃんの彼女じゃなくなってからも

凰ちゃんとたまに電話してた



ほとんど私から掛けて

でも

顔は見ないようにしてた



お互い

ビデオ通話にしようって言わなかった



たぶん

顔見たら

会いたくなるから…



「18歳になった雛、見たいな…」



「そんな、変わんないよ」



「じゃあ、見せてよ」



「うん…」



負けた



ちょっとでもメイクしとけばよかった



画面に映った凰ちゃん



久しぶりで

恥ずかしい



よく凰ちゃんのこと

見れない



「雛、変わったじゃん」



「ウソ!どこが?」



なんか変だったかな?



「ウソじゃない

かわいい」



「え…」



凰ちゃんの言葉に

動揺してしまった自分が

もっと恥ずかしくなった



「18歳、おめでとう」



「ありがと…凰ちゃん

早く、会いたい…」



心の声が出てしまった



「うん…オレも会いたい」



凰ちゃんに触れたくなった



画面越しの凰ちゃんの頬を

指でなぞった



「ん?なに?雛」



「凰ちゃん…」



「ん?」



「んーん…
誕生日に凰ちゃん見れてよかった」



「うん、雛がかわいくなってて
もっと会うの楽しみになった」



「ガッカリされないように頑張るね」



「ガッカリ?
たぶんしないから大丈夫」



「たぶん?
可能性アリじゃん」



「ハハハ…」



凰ちゃんの笑顔

大好きだ



「凰ちゃん、おやすみ」



「もぉ寝るの?」



「早く寝た方が
早く凰ちゃんに会える日が来るから…」



「そっか…
じゃあ、オレも寝る
おやすみ、雛」



「うん、凰ちゃんバイバイ…」



「バイバイ…」



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