きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
選手たちがコートから引き揚げると同時に、応援をしていた部員たちも引き上げの準備に取り掛かった。

「私たちもそろそろ帰ろうか」

鈴ちゃんと立ち上がり、深山くんに一緒に観戦してくれたお礼を伝えると、「もう帰るの?」と聞かれる。

「今から学校までバスで帰るんだ。荷物を詰め込むのに少し時間かかるから、その間に宮本と話せると思うよ。一緒に行かない?」

「あー、えっと……」

どうしよう。

お疲れ様、と伝えたい気持ちはかなりある。

けれどー…

「今日はやめておく。誘ってくれてありがとうね」

他の部員たちもいる中、声をかけるとは……さすがにそこまでの勇気は持ち合わせていなかった。

それに異性の私が声をかけると、かなり目立つだろう。

好奇の目にさらされるようなこと、宮本くんは望まないはずだ。

「そう? わかった」

深山くんは私の返事をすんなりと受け止めると、「気を付けて帰ってね」と手を振ってくれた。

「また学校でゆっくり感想聞かせてよ」

「うん、ありがとう!」

深山くんと、応援をしていた部員たちにもう一度会釈をしてから、私と鈴ちゃんは体育館を出た。


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