四季の姫君


つい先日手術を受けたばかり、それまでも発作や入院生活であまり動いていなかった体には


重たい着物で動き回るのは
大変だろう。


「早く高橋にも見せたいなーって思って、こっちきた」


疲れた顔で見せたくないもんね、と言いながら草履を脱ぐ。


それだけでもふらつく心を支える。



「着物って不便。好きだけど」



苦しいーーと言いながら廊下を進む心。


「、心」


中身は変わらず。



僕が知っている心なんだけど。化粧と姿が違うから、少し別の人に見えて。



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