四季の姫君
ゆたゆたと歩いていく
その姿にグッときて、つい呼び止めてしまう。
ん?と立ち止まって顔だけで振り返るその姿。
昔の人が
見返り美人だと言ったのが、よくわかる。
「…成人、おめでとう」
「今聞いたよ、ありがとー」
不思議そうに首を傾げ、洗面所へ消えていくその後ろを追う。
「嬉しくて嬉しくて、何回でも言いそう」
「まぁ、そうね。あなたの気持ちは計り知れないほど分かるわ。
あたしも成人式に参加できるとは思ってなかったと言うか… 諦めたつもりはないけど、ちょっと無理かもって思ってた部分もあったし…」
そうだろう。今、生きていてくれるだけで本当に嬉しいのに。