四季の姫君
「…最悪」
駐車場へ向かうたった少しの距離でさえこんなに億劫になっている結真くん。
歩いて行くってなると、どうなっちゃうんだろうと思う。
実習で再開してからよりを戻した…
と言っていいのかわからないけれど、また、1から始めることにした私たちは結局同じ高校に就職することとなった。
結真くんは「家から近いし異動がないからいい」と言う理由で決めたらしいけれど、
私はやっぱり、私と同じように教師を目指した子が戻ってきたときにいてあげたい…
ま、それも異動がないからという理由か。それで決めた。
あとは、高校生の時の自分のいやな部分として残っている記憶を、今の幸せな記憶で塗り替えたかったのもあるかもしれない。
「あ…ここで、」
いつも通り、学校につく、少し前。
人通りの少ない場所で降ろしてもらう。
「寒くない?別に学校まで一緒でもよくない?」
「いや…いやいやいや」
降りようとシートベルトを外し準備をする私に、眉を寄せながら結真くんが言う。
付き合っていることは周囲に秘密にしている以上、誰かに目撃されて騒ぎ立てられるのは避けたい。