四季の姫君
それに、相手は結真くんだ。
誰を敵に回すかわからない。できれば敵は作りたくない…。それは、高校時代のトラウマか。
「ありがと、」
「また定時きたら連絡する」
「うん、あとでね、今日もがんばろ」
いつも通りの変わらないやりとり。
少し納得がいかなそうな結真くんも、最近はいつものこと。
彼は知らないんだ。
こわい、こわい女の子の世界を…。
ドアを閉めて歩き出すと、しばらくして横を通っていった結真くんの車。
…あのころと同じように、歩いて一緒に登校したいなーともふと思うことがある。
ま、この季節、彼は絶対に嫌だと言うだろうけど。