四季の姫君
「それに、心。びっくりさせようとしてたっぽいから」
そう言った僕に、心はバレたか、と言う表情を見せる。
「忙しくて今日が成人式なんて知らないかと思った」
どう? と
体を滑り込ませて入ってきた心は綺麗な振袖姿。赤を基調とした花柄は所々キラキラしていて、
くるりと回ってみたはずみで光る。
いつもいつも見ていた
病院での姿と全く違う、
まさに晴れ姿に思わず
おぉ、と拍手をしてしまう。
「綺麗です」
「でしょーー」
この振袖、気に入ったんだーと
ふらふら揺れる心。
「無事、成人しました」
「…おめでとう」
「ありがとー、わぁーいいにおーい」