ともだち

《優美さーん、診察室へお入りください》

名前を呼ばれて、入った部屋は真っ白な部屋にデスクとベッドが置いてあるいつもの個室だった?

《こんにちは。体調はどう?》
「まあまあかなってとこです」
《そっか、じゃあ血圧測るね》

いつものように血圧を測るため、左腕を機械によって圧迫される。

《ん、いつもと変わらないね》
「ありがとうございます」
《最近、例のお友達とは上手くやれてる?》
「優愛ですか?彼女はいつも優しいです。
私、バイト先で嫌なことがあって...その時に、嫌なことは半分背負うし、逃げたいなら私が優美の代わりになるからって、私はそのくらいの覚悟があるって言ってくれました」
《...んー、なるほどね》

先生はパチパチとキーボードを弾いた。

「どうかしました?」
《優美ちゃん、彼女と一緒にいることを先生は咎めたりしないけど、その代わり、絶対に手綱は離さないでね》
「...手綱?」
《彼女との関係において、主導権は絶対に優美ちゃんが握っておいてねってこと》
「は、い?」

よく分からないながらも返事をすれば、先生がじゃあまた再来週ね、と笑顔になった。
とにかく、あまり優愛を甘やかしてはいけないんだなという理解のまま、お薬を貰いに行った。

「ただいま」
『...優美、!』

びっくりした。彼女がいきなりとびついてきたから。
たしかに朝一の診察のために、横に寝てる優愛を起こさずに抜け出して病院へ行ったから。
それにしても、彼女はいつも私が病院へ行くのを酷く心配して、嫌がる。
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