お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活??彼の愛は予想外でした(短編)~


「…俺は別に目を付けてない…その時は女性として意識していなかった…唯の使用人だった」
彼の手となり、足となった日々を思い出す。
「使用人って…お兄ちゃん…それは酷いわよ…」

「…『日比谷金属』の令嬢だぞ…瓜生さん」


瓜生さんは二人から責められた。

でも、彼は責められても動じなかった。

「…しかし、今は…俺の妻になる女性。意識せずにはいられない」
彼の眼鏡の奥の切れ長の瞳が妙に愛しげに私を見ていた。
「瓜生さん!?」
そんな目で見られたら、対処に困る。

結婚する以上…他の人達を欺かなくてはいけない。
彼は弁は立つし、演技も得意なよう。

「テレてるのか?与奈」

「俺達の結婚には異議を申し立てていたクセに…」

「そうだったな…莉緒ちゃんも居るし…葵のお腹の中には新しい命も宿っている…これ以上の干渉は不法侵入だ…」

「不法侵入ね…」

「…お兄ちゃん…挙式披露宴はどうするの?」

「葵の所に近々行くよ…その時は頼む」



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