お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活??彼の愛は予想外でした(短編)~
彼はシャワーを浴びたかと思えば、バスローブ姿で書斎に篭り仕事を始めた。
「パジャマぐらい着れば?バスローブのままだと風邪引きますよ」
「分かってる」
私は彼の為に温かいコーヒーを淹れた。
「これ飲んで、カラダ温めて下さい」
「やけに優しいな。何か裏がありそうだな」
「別に裏なんて…」
「お前、仕事辞めるんだな」
正確には叔母の差し金で、退職に追い込まれてしまった。
家庭に入ったからには夫である瓜生さんに尽くせと叔母は言った。どこの時代の話よ。今は令和で、共働きが当たり前の時代だと言うのに。
専業主婦なんて絶滅危惧種じゃない。
「いえ、直ぐに新しい仕事探しますから安心してください。貴方の扶養者になるキモチは全くありませんから」
「可愛くないな。お前」
「だって、私達は…」
「与奈が三つ指立てて、私の面倒を一生見て下さいと言えば、俺は一生お前を面倒見てやるぞ」
「私が瓜生さんに頭を下げるなんて一生ないです」
「まぁ、当面の生活費は俺が全部出す。お前は一応『日比谷金属』の令嬢で、俺は顧問弁護士。何かと社長にお前のコト訊かれそうだし。暫くは大人しく家に居てくれ」
「叔母が何かと口を挟んで来る可能性高いですからね。かりそめの結婚生活ですし。今は向こうの出方を見て、様子見で、私も大人しく家に居ます」
「それでいい」