お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活??彼の愛は予想外でした(短編)~
「お互い様って事か…」

私達が話をしていると襖を開けて和服姿の仲居さんが入って来て、キレイな懐石料理を目の前に置いていった。

「食べようか?」

朝から何も食べていなかった私はお腹がペコペコ。
お腹の周りを締め付ける帯が苦しいけど、空腹には耐えられない。

「頂きます…」
と二人で合掌して懐石に箸をつけた。

私は可愛いらしい手まり麩は浮かぶお吸い物を啜る。

「美味しい」

目の前の彼はマグロの刺身を口にした。
私達が無言で食していると庭園から一定のリズムで聞こえる鹿威しの音が室内に響き渡った。
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