毒舌な君の,ひどく甘い素顔
君から逃げられないその瞬間
「未初,おはよ」
今田くんが眠たそうに私に挨拶をしてくれる。
それに比べて私は……
「うん」
今田くんがわざわざ挨拶する人なんて限られていると言うのに,いつもと違ってそんな言葉しか返せない。
確実に昨日のことが尾を引いていた。
「未初,どった?」
覚醒したらしい今田くんが,椅子に座る私に目を合わせる。
「今田くん,別にどうもしないよ」
私は即席の作り笑顔を浮かべて,顔を背けた。
正面から嘘をつくなんて芸当,私には出来ない。
「今田くんってなに,昨日一日ちゃんと呼べてたよね。は? なんでそんなよそよそしいの」
「だから,今田くん,別にどうもしないし,よそよそしくもない」
「未初」
今田くんの静かな声がして,泣きそうになる。
そんな風に,私を呼ばないで?
だって,仕方ないじゃん。
こんな気持ちで椛なんて呼べない。
「……早く座らないと,先生来るよ」
私はもっともらしい言葉を並べて,まだなにか言おうとする今田くんを追いやった。
今田くんが眠たそうに私に挨拶をしてくれる。
それに比べて私は……
「うん」
今田くんがわざわざ挨拶する人なんて限られていると言うのに,いつもと違ってそんな言葉しか返せない。
確実に昨日のことが尾を引いていた。
「未初,どった?」
覚醒したらしい今田くんが,椅子に座る私に目を合わせる。
「今田くん,別にどうもしないよ」
私は即席の作り笑顔を浮かべて,顔を背けた。
正面から嘘をつくなんて芸当,私には出来ない。
「今田くんってなに,昨日一日ちゃんと呼べてたよね。は? なんでそんなよそよそしいの」
「だから,今田くん,別にどうもしないし,よそよそしくもない」
「未初」
今田くんの静かな声がして,泣きそうになる。
そんな風に,私を呼ばないで?
だって,仕方ないじゃん。
こんな気持ちで椛なんて呼べない。
「……早く座らないと,先生来るよ」
私はもっともらしい言葉を並べて,まだなにか言おうとする今田くんを追いやった。