毒舌な君の,ひどく甘い素顔
せっかく仲良くなれたのに。

何でなの。

近くにいれたら,嬉しいだけなのに。

怖いよ。

答えたくないよ。

いつかみたいにふわりと抱き締められる。



「ゆっくりはいて。はく方に集中して」

「はぁ,はぁ,はっ,は,は……ぁ」



トントンと背中を叩かれて,温かいぬくもりと声に安心して,私は馬鹿みたいに落ち着いていく。



「ごめん。意地悪しすぎた」

「ぐっ……ううん。私が勝手に……」

「好きだよ,未初」



今,なんて……

真ん丸に目を開くと,たまった涙がこぼれた。



「少しも気付いてないとは思わなかったから」

「なに言って」

「だから,好き。未初は?」

「でも私じゃ」

「好きか嫌いで答えて」

「私は,私は……」

「うん」

「す……き。椛くんが,ふぅっ…すき」



なんの涙か分からない雫がポロポロポロポロ出ていく。



「うん。僕も,未初がすき。付き合って?」

「~っ……はいっ」

「未初……もっかい名前呼んで」

「椛,椛……だいすき」

「ははっやっぱり落ち着く。ちょっとだけこうさせて」

大好きなぬくもりに,ぎゅっと包まれる。




「一件落着?」

「だな」



ー世話焼きな2人の,嬉しそうな笑顔。
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