毒舌な君の，ひどく甘い素顔

『ねぇ，それくらい自分でやったら？　それと，OK貰ってすぐにスマホ出すのはバカがバレるからやめた方がいいよ？』



さらさらとなびく綺麗な髪。

学校一モテる男子だと納得の，可愛いと格好いいの両立した奇跡の顔。

めんどくさそうに，バカにしたような口調でそう言う彼は，まさしくクラスメートの今田くんだった。



『あっ…も，椛くん……』



満面の笑みだった彼女は呆然と呟く。

その様子はすこし可哀想でもあった。



『他にもいるでしょ？　笹原さんに仕事押しつけてる人。その人たちにも言っといてくれる？　次僕の前で不愉快な真似したら許さないって』



冷たく言われた彼女は私を見てオロオロしていた。

ふぅとため息をつく。



『あの，今日は用事があるんだよね。今度私が用事あるときに代わってくれればいいよ。ほら，急いで帰らなきゃ』

『えっあっうん。ありがと！』



出きるだけにこやかに言うと，彼女は今田くんの顔をうかがいながらそそくさと走り去っていった。



『……なにしてんの』