毒舌な君の,ひどく甘い素顔
「ん。あんがと」

「えっ!? あっうん!!」



彼女が恐れたことはなにも起きなくて,とても嬉しそうに離れていく。

あ~あ,また。



「こわっ。そーゆーとこだぞ椛。俺,来年辺りお前に尽くす女子が蔓延する未来が見える……天然タラシめ」

「は? なにいってんの,ほんとキモい。離れて」



ベリベリと剥がされる男子を見ながら,私も同じことを思う。

時がたてばたつほど,女子の想いがガチになっていくのを感じる。

……かく言う私もその1人。

だけどなにもできない私はみんなと同じように語ってはいけない。



「はぁ。ほんとあほらしいわ。バカがうつる」

「はぁ!? ちょっどこ……あぁ笹原さんとこか」



同じはぁでも全然ちがう。

でもこの人たちは基本こんな感じだからいいのか。

なんてボーっと考えてる場合ではなかった。

えっほんとにこっち来る…!!



「笹原さん」



目の前には今田くんのお腹が,頭上からは私を呼ぶ今田くんの声がした。
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