溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
 信武(しのぶ)とのあれこれを考え過ぎて長湯してのぼせ気味。湯たんぽ張りにほこほこに温まった日和美(ひなみ)の小さな身体をまんまと腕の中に閉じ込めて。
 ギュッと抱き締めて逃がさないようにしておいてから愛らしい彼女の耳元、「日和美。お前の心が俺に傾いてんのが明白だって知っちまった以上、俺は(おりゃぁ)、もう待つ気ねぇから。――今夜こそお前を食わせてもらうから覚悟しろよ?」とか言い出したからたまらない。

 追い詰められた日和美は「ごっ、ごめんなさいっ、信武さん! 貴方のお気持ちにお応えしたいのは山々なんですけどっ。どうやら私、女の子の日になってしまったみたいで。そのお誘い、向こう一週間は無理そうですっ!」と起死回生の一手を放った。

 これ、実際のことで嘘ではなかったのだが、問題をほんの少し先延ばしにしただけに過ぎないのは誰の目にも明晰(めいせき)


 ――山中日和美、二十三歳。

 どうやらふんわり王子様キャラの不破(ふわ) 譜和(ふわ)だけではなく、俺様ギャップ萌えキャラの立神(たつがみ)信武(しのぶ)という男にも、すっかりしっかり惚れ(おち)てしまったようで。

 それだけならまだしも、一番バレたくなかった信武本人にも、秘めたい気持ちにバッチリ勘付かれて絶体絶命。二十三年間守り抜いてきた日和美の(みさお)は今、風前の灯火(ともしび)みたいです!
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