溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
(14)その女性は誰ですか?
『立神信武先生サイン会のお知らせ』
そんな貼り紙が、勤め先書店のあちこちに掲示されたのは日和美が信武に〝女の子の日なんです〟発言をした翌日のことだった。
(信武さんがうちのお店に……?)
そんなこと聞いてないよ?と思いつつ。
でもいつだったか信武が『大体俺、お前んトコの勤め先に近々……』とか口走ったのを思い出してあれはこれのことだったのかも、と思い至った日和美だ。
日和美がポスターの前で呆然と立ち尽くしていたら、これを主催するために奔走したであろう影の立役者・立神信武フリークの多賀谷先輩がやって来て、「あれ? 山中さん。もしかして知らなかった?」と聞いてきたのでコクコクとうなずいた。
「わぁー。灯台下暗し! みんなに告知したつもりでいたけど……新入社員の山中さんには告知漏れしてたんだね。そういえばこれの企画発表したの先月だったわ! ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝られて……いや、悪いのは先輩じゃなくてきっと店長ですよ?と思った日和美だ。
バタバタしていてみんなそこまで気が回らなかったのかも知れない。
何せ今年新卒採用で新入社員として新たにこの『三つ葉書店学園町店』に入社したのは日和美だけだったから。
ついうっかり他部署担当の日和美一人に告知漏れがあったからと言って、大勢に影響はないだろう。
それに、ポスターで告知された日まではまだあと一ヶ月近くある。
どうやら先週発売されたばかりの新刊を買った人に、サイン会に参加する抽選権が与えられるらしい。
「知ってたら昨日、サイン会の権利がある本買ってた?」
なおもポスターを見続けていたからだろう。
多賀谷が心配そうに聞いてくるから。
日和美はキョトンとした。
そんな貼り紙が、勤め先書店のあちこちに掲示されたのは日和美が信武に〝女の子の日なんです〟発言をした翌日のことだった。
(信武さんがうちのお店に……?)
そんなこと聞いてないよ?と思いつつ。
でもいつだったか信武が『大体俺、お前んトコの勤め先に近々……』とか口走ったのを思い出してあれはこれのことだったのかも、と思い至った日和美だ。
日和美がポスターの前で呆然と立ち尽くしていたら、これを主催するために奔走したであろう影の立役者・立神信武フリークの多賀谷先輩がやって来て、「あれ? 山中さん。もしかして知らなかった?」と聞いてきたのでコクコクとうなずいた。
「わぁー。灯台下暗し! みんなに告知したつもりでいたけど……新入社員の山中さんには告知漏れしてたんだね。そういえばこれの企画発表したの先月だったわ! ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝られて……いや、悪いのは先輩じゃなくてきっと店長ですよ?と思った日和美だ。
バタバタしていてみんなそこまで気が回らなかったのかも知れない。
何せ今年新卒採用で新入社員として新たにこの『三つ葉書店学園町店』に入社したのは日和美だけだったから。
ついうっかり他部署担当の日和美一人に告知漏れがあったからと言って、大勢に影響はないだろう。
それに、ポスターで告知された日まではまだあと一ヶ月近くある。
どうやら先週発売されたばかりの新刊を買った人に、サイン会に参加する抽選権が与えられるらしい。
「知ってたら昨日、サイン会の権利がある本買ってた?」
なおもポスターを見続けていたからだろう。
多賀谷が心配そうに聞いてくるから。
日和美はキョトンとした。