溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「好きで……」

「山中さんだって自分に造詣(ぞうけい)が深い記事、自由にいじったり新しい項目を追加したり出来るのよ?」

 そのままニコッと微笑み掛けられて、普段からウェブペをよく閲覧利用している日和美(ひなみ)は大いに驚いた。
 今までは見る専門で、自分で何かを発信してみたいだなんて思ったことは一度もなかったから。

「例えば……だけど。好きな作家さんの情報を自分が作っていけるのって、何だか優越感じゃない?」

 言われて、確かに!と思った日和美だ。
 萌風(もふ)もふ先生の新刊情報とか、誰よりも早く日和美がウェブペに挙げられたら、最高ではないか。

 日和美はちょっと前に「作者の体調不良」を理由にほんの少し発売が延期になってしまった萌風(もふ)もふ先生初の現代ものになる予定の新刊に想いを馳せた。

(あれの情報、本を読んだら私が一番乗りでウェブペに載せちゃいたい!)

 そこまで考えて、そういえば、と思う。

 今月は不破(ふわ)(というか信武(しのぶ)?)のことでバタバタしていて、まだ萌風(もふ)もふ先生にファンレターを書けていなかった。
 彼女のデビュー当時から、毎月ずっと欠かさず送り続けてきたファンレターだ。
 どこかで時間を取って書かなきゃ、と思う。
 萌風(もふ)もふ先生が体調不良とあれば尚更。何か元気になれそうなプレゼントを添えて、ファンの務めを果たさなければ――。

 幸い今夜は信武の帰りが遅くなるみたいだし、好都合ではないか。

 日和美は、今朝出がけにあった、信武とのやりとりにふわりと思考を飛ばした。
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